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National (Panasonic) / BF-263P
タイプ National (Panasonic)社製 市販ライト
大きさ 本体部 幅70mm x 奥行55mm x 高さ65mm
重さ 約130g (電池、付属ベルト含)
光源 日亜 ハイパワーLED x 1
(光束23ルーメン、指向特性35度のNCCW023と思われる)
電源 CR123A x 2
防水性能 防滴
スイッチ 電源スイッチはプッシュタイプで、1回押すと点灯、もう1回押すと点滅、さらに1回押すとOFFと切り替わる。
点灯、点滅後はジョグダイヤルによって明るさを6段階に調光可能
使用可能
時間
連続点灯時間 連続点滅時間
明るさ最大時 約2時間30分 約5時間
明るさ最小時 約150時間 約300時間
その他 拡散、集中光切替機能
点滅は約240回/分。
使用温度範囲 -20度〜40度。
本体部は90度の可動範囲を持ち、照射方向を調整可能。



   
正面向かって左側に調光用のジョグダイヤルがありますが、構造的に親指の腹でクルクルとはいかず、親指と人差し指などでスイッチをつまむようにして回すタイプです。回転させるとカチ、カチというクリック感がありますが明るさの切り替わりはカチではなくカチ、カチと2回で一段階変わるという感じで、私の感覚では少し違和感を感じました。また、ジョグということで回転しつづけても止まリませんので最大、最小位置がわかりにくいかもしれません。このへんのニュアンスは表現が難しいのですが,、6段階と多くの明るさ調整が出来る上に前回電源OFF時の明るさを記憶するようになっているライトなので、ダイヤルが最小、最大位置で止まらないのは操作性を悪くしているように感じました。(ちなみにジョグダイヤルの内側グレーの部分が電源ON。OFFのプッシュスイッチです)

調光機能ということでLEDにかかる電圧を簡単にテスターで計測してみました。
最小から最大まで6段階のデータです。
1.26V >> 1.36V >> 1.56V >> 1.92V >> 2.6V >> 3.7V
電池交換時:
フタを閉める時は先にケース上部の凹とフタの凸をきちんと合わせてください。
慣れるまでは取付けにくさを感じるかもしれません。

電池フタの脱落防止のための簡易バンドがあるのは親切です。

分解するとこんな感じです。ズームレンズ部分の構造はBF125によくにています。

カタログ、説明書に明記はありませんが、その形状から光源は日亜製パワーLEDと思われます。

LEDユニットは電池ボックスを覆うように設置された大きなヒートシンクに密着させて固定されています。Luxeon同様にかなりの発熱があります

砲弾型LEDと同様に、ドーム状の樹脂レンズによって素の状態でもある程度(約35度)集光されています。

基盤部分

反対側(電池が接触する側)

レンズが無い状態での比較
左:BF263(パワーLED)  右:LambdaIll(Luxeon)

左:ARC-LSH  右:BF263(レンズ無し)
レンズが無くてもそれなりに集光されていることがわかります

レンズで集光した状態で、超近距離を照らすとこのようなパワーLEDのパッケージそのままの形が映し出されます

散光状態ではムラが少なくなります

左:BF263(集光)  右:LED LENSER V1MOON

左:BF263(散光)  右:ZIPKA Plus

左:BF263(散光)  右:Syclone改(日亜5mm砲弾型LEDx37個)

左:BF263(散光)  右:Arc-LSH

左:BF263(散光)  右:SUREFIRE L4


2003年8月19日


私の知る限り、世界で初めて日亜製パワーLEDを搭載した市販ライトだと思います。このLEDは日亜のウェブサイトを見ると2002年3月4日のWhat'sNewに掲載されており、発表当時はフラッシュライトへの転用も期待され話題になりました。しかし、なかなか一般市場で見ることが出来ず、そうこうしているうちにフラッシュライトの分野で使われる高出力LEDはLumileds社のLuxeonがメジャーとなりほぼ独占という状態となっています。私は所有するBF-263Pに採用されているパワーLEDしか見ていないので個体差かもしれませんが、光の色合いや明るさ等の性能でもLuxeonの方に一日の長があるように感じます。

 このBF-263Pに使われているパワーLEDはNCCW023と思われますが、スペックシートを見てみると以下のような特徴があります。
・定格電圧3.8V 350mA (最大4.2V 500mA)
・最大2W駆動可能
・光束 23ルーメン(350mA時)
・指向特性 35度
・動作温度 -30℃〜85℃

 Luxeonとの大きな違いは特にその指向特性にあると思います。素の状態のLuxeonの指向特性は100度以上あり、懐中電灯として使うにはNX-05レンズ(指向特性約15度)、その他レンズ、リフレクタが必須といえましたが、パワーLED(NCCW023)の場合はLED素子を封入している樹脂レンズによって既に35度に集光していますので素のままでも懐中電灯としての利用が可能です。とはいっても、懐中電灯として使うにはもう少し集光してあったほうが使いやすいと思います。できれば10度〜15度の指向特性が欲しいところです。35度くらいではある意味中途半端で、近距離はまあ良いですが中距離以上を照らすにはちょっと拡散しすぎておりそのままでは使いにくいです。そこで、試しにリフレクタやNX-05レンズを着けてみましたが上手く集光できませんでした。このタイプのLEDはBF-263Pで採用されているように虫眼鏡形状のレンズが適するようです。このタイプのレンズの特徴でしょうかBF-263Pの集光状態の光はLENSER V1 MOONに近く、スポット光で周辺部に青味が強いビームパターンとなっています。散光状態では色合いのムラも少なくなり日亜の5mm砲弾型LEDのような比較的滑らかなビームパターンとなっています。集光状態と散光状態でどれくらい遠くを照らす能力に違いがでるかという点が気になると思いますが、私の肉眼上ではそれほど大きな違いを感じることは出来ませんでした。集光時は中心輝度が高くなるというよりは、散光時の中心の明るい部分がより広がるという感じです。

 ヘッドランプとして頭に取り付けた場合、その形状から重心位置がちょっと高く、動いた際に揺れやすく少し不安定に感じます。また、角度調整時にカチカチとちょっと大きな音がする方向がありますので、用途(虫の観察等)によっては気になるかもしれません。

 値段が6,000円くらいと高いのもありますが、日亜パワーLEDへの期待が(待たされぶん余計に)高かっただけに残念に思う部分がどうしても目に付いてしまいます。しかし、細かな調光機能、点滅機能、環境の温度変化に強く長期間保存可能なCR123A採用、電池蓋の落下防止ストラップ、防滴、通気性の良いヘッドバンド(旭化成製)等、日本のメーカーらしい(Maide in TAIWANではありますが・・)細かな使い勝手まで配慮された造りはさすがで海外製品にはあまりない良さといえます。
 そして、このような新技術を積極的に取り入れたライトを発売するNationalは日本の一般消費者向けライトの分野ではやはりトップであると感じました。ぜひ今後はパワーLEDまたはLuxeonを使用した手持ちタイプの小型ライトを発売してくれることを期待したいと思います。


※ここでは私の所有するBF-263Pおよび、それに内蔵された日亜パワーLEDをもとに書いています。LEDには個体差があることをご了承ください。また日亜パワーLEDに関しては今後、一般に入手が容易になれば良い集光方法等が発見されると思われます。

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